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#93:堕天使(その12)

#93






「どうして…上條さんがここに…?」




俺は半信半疑のまま、口元の緩ませ、妖しく目を輝かせる上條に言葉を掛けた。




「幽霊なんかじゃないぜ。あんな目に遭っても、ちゃんと生きてる」




殴られた時のことを根に持っているのだろう…


上條は含み笑いを見せながら俺の方へと近づいて来た。


そして、一定の距離を保ちながら、俺の頬に濡れて冷たくなった指先を当てる。




「な?ちゃんと生きてるだろ?」




上條の威圧するような目に、たじろぐ俺を見透かしているのか、上條の声がさっきより大きくなった気がした。




「…何しに…来たんですか?まひるに…あんな格好させて…」




俺は上條の勢いに呑まれないように、睨みを利かせてそう告げたが、目の前の上條には何の牽制にもならなかった。




「…リハビリだよ。お前に殴られた後から、右手の痺れが取れなくてさ…オンナも悦ばせられないんじゃ、シャレになんないだろ?」




「だからって…まひるにこんなことしなくても」




「何言ってんの。俺の顔見てしてくれって、すがるような目して言ってきたのは、あの女の方だぜ。ちょっとの間に何があったかは知らないが、淫乱女に成り下がったな」




上條は、椅子の背に凭れて自慰行為に耽り、喘ぎ声を漏らすまひるを見て、笑い声をあげた。




「ほら、途中で止めたから、寂しがってるだろ?留衣子のとこに行く前に、一発やらせろって…」




上條はニヤケ顔でそう言うと、俺の肩をポンポンと叩いた。


俺はその手をすかさず掴むと、渾身の力を込めて上條の腕を捻りあげる。


グツッと関節の鳴る不気味な音が聞こえて、上條のニヤケ顔が一瞬で苦痛の表情へと変わっていった。




「おい!サトシ…マジになるなよ、…冗談に決まってんだろ」




「…留衣子のとこに行く前に…ってどういう事ですか?上條さん!」




上條の発した言葉が妙に引っ掛かった俺は、捻り上げた上條の腕に更に力を込めた。




「…留衣子姫にさ、連れてくるように言われたんだよ。いい医者が見つかったからって」




「いい…医者?…じゃ、羽海野さんは?」




腕の痛みで観念したように、ここへやって来た理由を吐き出した上條に、俺は更に質問を重ねた。


しかし、上條はそれ以上は何も答えなかった。


嫌な予感が頭を掠めて、俺は慌ててポケットの中から空いた手で携帯電話を拾い上げる。


昨日、登録したばかりの羽海野の携帯番号をアドレス帳から探し出すと、すかさず発信ボタンを押したのだった。






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