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#60:堕落(その2)

#60






私の目に川原隆二の姿が映った時、私は反射的に川原から見えないように姿を隠そうとした。


何故、ここに彼がいるのだろう…?


私を捨てた言い訳でもしに来たのだろうか。


胸の鼓動がドクドクと鳴り響き、コートの下から聞こえそうなほどだった。




「おぉ!サトシ!…こんなとこで何してるの?」




川原がサトシの名前を親しげに呼ぶ声が聞こえてきて、私は思わず二人の姿が確認出来る位置へと、少しだけ身を乗り出した。


サトシも川原の姿を目にすると、少し驚いた表情を浮かべたが、すぐに笑顔になって「川原さん」と声を掛けた。




「驚いたよ。こんなところで会うなんて…今日は、店は休みなのかな?」




「あ、はい。急な用事が入っちゃって…川原さんこそどうしたんですか?」




「…いや、このマンションに会社の部下が住んでて…体調が悪いって暫く休んでるからさ。ちょっと様子を見に来たんだ」




川原はそう言うと、サトシとは目を合わせようとせず、額に滲む汗を慌てて指先で拭い取った。




「へぇ〜、部下思いなんですね…川原さんって。あ、そうそう…結婚、決まったんですってね。おめでとうございます。お相手の方は、部下思いの川原さんに惹かれたのかな?」




川原の慌てる素振りを見てなのか、サトシは少し意地悪そうな口調でそう言いながら、相手の様子を窺っているように見える。


こっそりと二人のやり取りを見ていた私は、サトシの挑発的な態度に嫌な予感を抱いていた。




「まだまだ独身でいたかったんだけど、彼女…お腹に…出来ちゃってさ。それに、彼女…社長の姪なもんだから、結婚もせっつかれちゃって。正直、参ってるよ…」




頭を掻きながら苦笑する川原だったが、心底困っている訳ではないのが目を見れば分かる。


留衣子の言っていたように、川原が優しい羊の皮を被った野心家だったことにも頷けた。




「またまた!社長の姪との結婚なら願ったり叶ったりじゃないですか!…まぁ、それを聞いて、今日、あなたが訪ねてきた部下がどう思うか…ですけどね」




「え?どういうこと?」




「あなたが訪ねてきた庄野まひるが…ですよ」




サトシの言葉に川原の動きも止まったが、私の嫌な予感が的中した瞬間でもあった。


思わず二人の前に飛び出して行きたい衝動を抑えるのに必死だった。




「どうしてサトシが彼女のこと、知ってるの?…どういう関係?」




「…左胸の下にホクロがあることは知ってますけど…詳しく聞きたいですか?」




サトシの強気な言葉に、川原の顔が見る間に赤くなった。


川原の怒りを買った瞬間だった。






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コメント

非公開コメント

はじめまして~

こちらに移動されたのですね
どうしたんだろうと思ってました
自分のランキングを見ていたら
お!っと( ̄∇ ̄*)ゞ
またこっそり拝読させていただきます(笑)←

Re: はじめまして~

リディアさん。

いらっしゃいませ。

アメブロではいつもペタをありがとうございました。

諸事情であちらでの活動が…(笑)

こちらでもよろしくお願い致します。
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Ryo

Author:Ryo
大人の恋愛小説を書いています。

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